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無料で受けられるワクチン(定期接種)はBCG、ポリオ、三種混合(DPT)、麻疹風疹(MR)、日本脳炎の8つの病気だけです。これ以外のワクチンで防げる病気は、保護者がお金を払ってお子さんに受けさせるワクチン(任意接種)で防ぐことになります。
日本では子どもに任意接種が必要な理由
日本は30年ほど前までは欧米先進国と同じレベルのワクチンを子供に接種できていました。しかし、1989年に導入されたMMRワクチンが、おたふくかぜワクチンの成分のために発生した髄膜炎のために93年に中止されました。これ以来、ワクチンの副反応への懸念が広がり、ワクチンで病気を防ぐことよりもわずかでも起こりうる副反応への懸念のため、全員に接種していたワクチンでさえも中止になり、海外で承認・使用されているワクチンが導入されなくなりました。
この間、先進国や日本よりも遅れていると思われていた国でもどんどん新しいワクチンが開発導入されていきました。MMRワクチン騒動でワクチンというものを叩きまくったマスコミとそれに懲りた政府は、この遅れを、国民に知らせることなく、ワクチン行政は停滞し続けました。外国からは「日本は先進国でお金持ちの国のはずなのに、あんなに少ししかワクチンを受けさせてもらえないなんて、日本の子どもは可哀そう」と言われています。
今でも、日本は国民皆保険なので、病気になってもすぐに医療機関を受診できるの安心というのもあって、ワクチンは副作用の方が怖いので定期接種以外のワクチンは必要ないと考える人が多いのが現状です。
数ある感染症の中でもワクチンが開発された病気というのは、効く薬が無かったり、薬があるとしても効果が乏しかったり、薬で治すよりもワクチンで防ぐ方が有利な病気です。そもそも、子ども、中でも乳児や年少の幼児は免疫が未熟な時期での初感染なので、薬は効きにくいのです。防げる病気ならワクチンで防ぐべきなのです。
任意接種ではありますが、2008年末のHibワクチンの承認以来、これまで停滞していた新しいワクチンの導入がなされるようになりました。新しく承認されたワクチンはHibワクチンのように輸入のワクチンです。どうやら日本政府は、これまでの日本のワクチンメーカー保護の護送船団方式では、諸外国とのワクチンギャップを看過できないレベルに達したと観念したようです。任意接種なので保護者には費用負担がかかりますが、ワクチンで防げる病気が増えたのは幸いです。
本来諸外国並みに無料の定期接種の数を増やしていくべきなのですが、国民の意識がそうではないのなかなか進みません。
任意接種のワクチンの費用が高額に感じられるかもしれませんが、病気にかかる可能性と、かかったとした場合の負担や病気で苦しみ、死亡したり後遺障害で身体障害者になったりする結果を考慮すれば高くはないのです。外国で全員に接種しているのはこの費用効果があるからなのです。任意接種といっても、現在定期接種に選ばれているワクチンよりもよほど費用効果の高いものです。定期接種が無料といってもお金の出所は税金なので払ったというのが目に見えていないだけです。わが子へのワクチンのために払う任意接種の費用は直接わが子に注がれるのだから損はありません。
ワクチン接種スケジュール
予防接種は、本来は、病気に対して弱い子どもに早期に免疫をつけるのが目標なので、接種可能な年齢になったできるだけ早めに受けられるのが賢い受け方です。接種部位が腫れたり発熱したりするワクチンの副反応は、大きな子どもよりも小さい子供の方が少ないものです。副反応が怖いから遅めに受けるというのは、受ける前に病気にかかってしまって間に合わなくなる可能性を無視しているので賢くありません。
任意接種のワクチンは生後2カ月から受けられるものと1歳過ぎで始めるべきものとあります。定期接種が終わってから始めるのでは遅いので、定期接種とからめて、できるものなら定期接種と同時に受けられるのがお勧めです。
定期接種には予防接種健康被害救済制度という国が補償してくれる保険が付いているのですが、任意接種には医薬品医療機器総合機構法に基づく救済といういわば民間保険しか付いてません。万が一ワクチンによる健康被害が生じたときに、定期接種なら接種後の健康被害というだけで高額の補償金と障害が残った場合には生涯にわたって年金が支払われますが、任意接種だと厳しい審査を通って保険が払われたとしても払われる保険金は少額で年金はありません。定期接種と任意接種の同時接種された後に健康被害が生じた場合にも予防接種健康被害救済制度が適用されることになっています。任意接種のワクチンを受ける時には同じ時期に受けるべき定期接種のワクチンがあるのならそれと同時に接種するべきなのは健康被害救済制度のためでもあります。
3カ月 BCG+三種混合(DPT)(1)+Hib(1)+肺炎球菌(1)+ロタウイルス(1)
4カ月 三種混合(DPT)(2)+Hib(2)+肺炎球菌(2)+B型肝炎(1)+ロタウイルス(2)
5カ月 三種混合(DPT)(3)+Hib(3)+肺炎球菌(3)+B型肝炎(2)
1週間以上後に ポリオ(1)
9カ月 B型肝炎(3)
10カ月 ポリオ(2)
1才 麻疹風疹混合(MR)(1)+肺炎球菌(4)+おたふくかぜ(1)+水ぼうそう(1)
1歳5カ月 三種混合(DPT)(4)+Hib(4)
3歳 日本脳炎(1)+水ぼうそう(2)
3〜4週後に 日本脳炎(2)
4歳 日本脳炎(3)+おたふくかぜ(2)
就学前の1年間 麻疹風疹混合(MR)(2)
小学4年 日本脳炎(4)
ロタウイルスワクチンとBCGは6か月までしか受けられません。ロタウイルスは生後6週から、BCGは3カ月を過ぎたら早めに受けるべきです。岸和田市では月に1回 市立保健センターでBCGを接種していますが、平成21年度からはあぶみクリニックも含め岸和田の受託医療機関でも個別接種ができます。3カ月を過ぎたらできるだけ早めに受けるべきなので、かかりつけの医療機関での個別接種の方が早く受けられます。個別接種ならロタウイルスワクチンや三種混合ワクチンとHibワクチン、肺炎球菌ワクチンと同時接種できるのもメリットです。
Hibワクチンと肺炎球菌ワクチンは生後2カ月から接種可能ですが、生後3カ月から接種可能な三種混合ワクチンと同時に接種するのがお勧めです。 Hibワクチンは有効成分が破傷風トキソイドと結合されていて、肺炎球菌ワクチンは有効成分がジフテリアトキソイドと結合されています。破傷風とジフテリアのワクチンと百日咳のワクチンの混合が三種混合ワクチンなのですから、同時に接種した方が副反応は少なく免疫が強くつくなるのです。同時に接種すると受診回数も少なくてすみますので楽です。
三種混合ワクチンとHibワクチン、肺炎球菌ワクチンを生後3カ月になったらすぐに受けて、できるだけ同時にロタウイルスワクチンとBCGも受けて、その4週間後に三混・Hib・肺炎球菌・ロタウイルスワクチン、さらに4週間後に三混・Hib・肺炎球菌を受けるのがお勧めです。
一番早くワクチンを済ませるには、三種混合とBCGとHibワクチン、肺炎球菌、ワクチンロタウイルスワクチンを生後3カ月になったらすぐに受けて、その4週間後に三混・Hib・肺炎球菌・ロタウイルスワクチン・B型肝炎、さらに4週間後に三混・Hib・肺炎球菌・B型肝炎を受けて、その直近でポリオを飲めば、生後6か月までに乳児向けのワクチンの基礎免疫をつけるという目標が達成されます。
ポリオワクチンは三混または三混・Hib・肺炎球菌が済んでからでもいいですし、これらの接種の間に1回目を入れてもいいでしょう。ポリオワクチンは岸和田では毎月2回市立保健センターで集団接種で行われていて、2回目のポリオワクチンを最短では6週間で受けられることになっています。他の市町村では、消化器感染症の少ない春と秋にまとめて受けているのが主流なくらいですので、2回目を急いで受けなくても1歳過ぎでも良いくらいです。ただし、保育園への入園が近い、集団接種だとお母さんが仕事を休まなければいけなくなったりなど家庭の事情があるのなら、受けられなくなるより受けておいた方が良いので、2回目の接種を詰めても良いでしょう。
麻疹風疹混合(MR)ワクチンは1歳を過ぎたらできるだけ早めに受けてください。肺炎球菌ワクチンの追加接種と同時接種がお勧めです。麻疹はワクチンで防ぐ病気の中でも一番伝染力が強く重症度の高い病気です。これを逃してと自費で受けることになるとかなり高額になります。2歳の誕生日の前日までのわずか1年だけが1期の受けられる期間です。一年なんてあっと言う間に過ぎます。
MRワクチンと同時または、MRワクチンを受けられて4週間でおたふくかぜワクチンと水ぼうそうワクチンを同時に受けられるのをお勧めしています。米国ではMMRワクチンと水ぼうそうワクチンの同時接種が標準です。定期接種のMRワクチンとの混合ワクチンが日本にはないので、MRワクチンと同時接種するか、そうでないならMRの残りのおたふくかぜと水ぼうそうを同時に受けるのです。どちらか一方を先にしようとすると、残りの病気にその間の4週間にかかるリスクがあります。
おたふく・水ぼうそう、ポリオの2回目も済ませたら、そろそろ1年後の三種混合の追加の時期になるはずですので、Hib・肺炎球菌ワクチンの初回免疫を済ませている人で同時接種の人なら三種混合と同時に受けられたら良いです。同時接種できなかった人は、医師の指示通りに、Hibワクチンと肺炎球菌ワクチンの追加接種を受けるべき時期に受けてください。
秋に1歳を過ぎていれば、これらのワクチンの合間を縫って、インフルエンザワクチンを受けることができます。インフルエンザワクチンと同時に他のワクチンを受けることができるので、インフルエンザワクチンを優先して三種混合やHib・肺炎球菌、MRワクチンなどの接種が遅れないように注意するべきです。
3歳になったら早めに日本脳炎ワクチンを3〜4週間隔で2回受けて、翌年に追加接種を受けてください。
小学校入学前の1年間にMRワクチンの追加があります。これも1年間だけですので急ぎます。理想では、病気にかかっていなければ、おたふくかぜと水ぼうそうも追加でこの時期までに受けられると良いでしょう。保育園などの集団生活に入っているのなら水ぼうそうは初回接種から1年以上でもう一回が理想です。
小学4年生で日本脳炎の追加接種があります。11歳から13歳までに2種混合(ジフテリア破傷風)も受けられます。
5年間の期間限定ですが中学1年生と高校3年生でMRの2期の接種が受けられます。大学や専門学校の入学の条件にされることもあるので逃さないでください。
女子では10歳以上で子宮頚がんワクチンを受けられます。性交渉の前に3回済ませるべきです。
B型肝炎ワクチンは母子感染予防では保険適応ですので、健康保険を使って安く受けられます。母親以外の家族に感染者がいるハイリスクのお子さんでは母子感染予防と同じ乳児早期から受けられます。
日本は世界で最もB型肝炎患者の多い中国の隣国です。その他のアジア諸国もB型肝炎患者の多い国です。日本以外の国ではB型肝炎ワクチンは全員接種です。B型肝炎は保育園で子どもからうつされることもある伝染力の高い病気ですし、近年は性病として感染力の強いタイプが流行の主流になっています。海外居住予定があったり、外国に行く機会の多いお子さんはもちろん、普通の人も医師と相談されて、他のワクチンと同時か合間に受けられると良いでしょう。
ロタウイルス胃腸炎は乳幼児の胃腸炎の中でも感染力が強く最も重症化しやすいものです。白っぽい水のような下痢や激しい嘔吐が続き症状が治まるまでに7日間程度かかります。赤ちゃんは水分補給が間に合わなくなり、口から何も受け付けなくなったりして、急激に脱水が進んで、すぐに適切な処置をしないと命にかかわることもあります。発展途上国を含めた全世界の乳幼児死亡では死因の最上位を占める病気です。日本でも外来受診した子どもの15人に1人は入院しています。日本でロタウイルス胃腸炎で入院する小児の3割が0歳児、4割が1歳児です。 ロタウイルスワクチンでロタウイルス腸炎にかかりにくくなり、重症化を防ぎます。ロタウイルスワクチンはポリオワクチンと同じように口から飲むワクチンで、生後6週から6カ月までの間に4週間以上あけて2回接種します。生ワクチンなので、ロタウイルスワクチンの次に他のワクチンを受けるには4週間以上経たなければいけません。受けられる期間が短いのと生ワクチンであるために、ロタウイルスワクチンは他のワクチンと同時接種でなければ難しいです。他のワクチンを済ませた後で受けようとか、同時接種は怖いからと言って三種混合ワクチンとHibワクチン、肺炎球菌ワクチンを別々に受けようとしたりすると、ロタウイルスワクチン接種は諦めるしかないのです。ロタウイルス胃腸炎は、5歳までに必ずかかる病気です。流行し始めたから急いでワクチンを受けようと思っても、大抵は既に子どもは生後5カ月を過ぎていて受けることができません。定期接種ではなく親の判断で受ける任意接種ですから、子どものために先手を打てる親の理解力が問われるワクチンです。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は聴力喪失などの障害を残すことがあるので、諸外国では全員に接種して、ポリオと同じように、この世の中から無くそうと努力している病気です。実は先進31カ国の中でおたふくかぜを全員に接種していないのは日本だけです。日本では1歳で麻疹風疹混合ワクチン(MR)を接種するのを、諸外国では麻疹おたふくかぜ風疹混合ワクチン(MMRワクチン)を接種するからです。おたふくかぜをかかればよい病気だなどと甘く考えているのは事情を知らない日本人だけです。諸外国ではワクチンを受けていないと入学、就職、結婚できないくらいです。耳下腺腫脹の目立たない幼少児でも聴力喪失しますので、1才以上なら、どなたも早めにワクチンでの予防をおすすめします。
水ぼうそう(水痘)は、薬もある軽い病気と考えられがちですが、子どものうちにかからずに大人になってかかると、死亡率が数パーセントもある怖い伝染病です。伝染力がとても強く、アトピー性皮膚炎などの皮膚の弱い人は重症化しやすく、そうでない人でも帯状疱疹という困った続発症を起こし、痛みが長引いて苦しむことになります。強い伝染力のため保育園などの集団生活に入ると数年のうちに必ずかかって、園を休まなければならなくなり、保護者も仕事を休まねばならなくなります。1才以上なら、ワクチンでの予防をおすすめします。
Hib髄膜炎は流行性の病気ではないのでニュースにならず、世間ではあまり知られていませんが、現在日本でワクチンで予防できる病気の中で、後遺障害と死亡を引き起こす病気ということでは、三種混合ワクチンに含まれる百日咳に次いで多い病気です。毎年日本国内で約600人のお子さんがヘモフィリスインフルエンザ菌b型(Hib)という細菌による髄膜炎にかかっていて、その約5%は死亡し、約25%に後遺症(聴覚障害、発達遅延、神経学的後遺症)がみられています。Hib髄膜炎は診断と治療が難しい病気なので、1987年から米国で使用開始されたHibワクチン(ヒブワクチン)が世界120カ国以上で導入されていて、全員接種の国ではHib髄膜炎は過去の病気になっています。日本では2008年末から任意接種のワクチンとして受けることができるようになりました。Hib髄膜炎は生後3ヵ月から5歳未満、特に2歳未満のお子さんに多い病気なので、三種混合ワクチンを受けられる年齢のお子さんでは同時接種も可能です。
諸外国では日本で使用されている三種(ジフテリア・百日咳・破傷風)混合ワクチンとHibワクチンの4種混合または、更に不活化ポリオワクチン入りの5種混合、加えてB型肝炎ワクチン入りの6種混合が使われています。単独のHibワクチンは日本向けだけにフランスで作られて輸入されています。
肺炎球菌は小児の中耳炎、副鼻腔炎、肺炎、敗血症および細菌性髄膜炎の主な起炎菌です。肺炎球菌は病原性が高く、子供の血液や髄液などに菌が侵入すると進行が速く重症度も高いので、乳幼児と小児の罹病及び死亡の主な原因となります。抗生剤の効かない耐性菌が増加しているので治療が成功しないことも増えています。
免疫系の未熟な2歳未満では肺炎球菌への免疫ができないので、乳幼児に重篤な感染症を起こす主な7種類の肺炎球菌の抗原と無毒性ジフテリア毒素を結合させて、乳幼児で効果のある肺炎球菌ワクチンが開発されました。2000年に米国から使用開始され2010年現在で97カ国で使用されています。
毎年日本国内で約200人のお子さんが肺炎球菌による髄膜炎にかかっていて、3分の1は死亡するか重い後遺障害が残ります。患者数ではヘモフィリスインフルエンザ菌b型による髄膜炎の方が多いのですが、重症度は肺炎球菌性の髄膜炎の方が高いです。
肺炎球菌ワクチンとHibワクチンの両方を接種しておけば怖い細菌性髄膜炎のほとんどを予防できます。肺炎球菌ワクチンは髄膜炎以外にも肺炎球菌による中耳炎や肺炎にも効果が期待できます。
生後2カ月から受けることができるのはHibワクチンと同じで、三種混合ワクチンを受けられる年齢のお子さんでは同時接種も可能です。
子宮頚がんは20〜30代で急増する若い女性で起こる癌ですが、子発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の自然感染で子宮頚部から排除されずに感染状態が持続することで発症します。発がん性HPVといっても、多くの女性が一生のうちに一度は感染するごくありふれたウイルスで普通は無症状です。子宮頚がんは癌でも感染症由来なので、ウイルスの感染を防げば癌の発症も防げます。それで、発がん性HPVの大半の原因のHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンが開発されました。これをセックスを始める前の10代前半に接種することで子宮頚がんの発症を予防できます。
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